○今回のポイント 1 広い場所へ移り住むのではなく、今の家でどう「広く住む」かを考える
○今回のポイント 2 LDKの中心に人が集まるテーブルキッチン
○今回のポイント 3 折り畳みできる和室やベッドなどで、狭くても客間をつくる

  前回書斎や家事室をつくるなどの提案をしました。(前回コラムはこちら)
そんなセコイことなどせずに堂々とリビングの真ん中で仕事や家事をやればいいのでは、とのご意見も頂きました。確かに居間のソファ-やテーブルをすべて書斎や家事用として広く使うアイデアもあります。テーブルや椅子などの中を収納としそれらの上蓋を開けて広々と仕事場にする方法もあるのです。

<イラスト1:LDKのソファーが家事室に早変わり(画:天野彰)>

狭い狭苦しい!その“苦”を取って楽に、もっと楽しく「狭“楽”しく」住む! 
やはり今の2LDKから部屋の多い3LDK、いやもっと4LDKに移りたい!が・・・引っ越せば家賃が倍となり「家計」がひっ迫して狭くなる。では、と郊外のそのまた郊外へと引っ越せば、今度は往復4時間近くの通勤通学時間となり家族や友人との付き合いも少なくなり「世間」が狭くなります。

所詮都市での住まいは狭い・高い・遠い、の狭さの“三すくみ”でがんじがらめで逃れることができないのです。だったら無理して広くなどせず、今の家を「広く住む」工夫をすればいいのです。
住まいの原点はやはり炉辺です。
 古今東西住まいの中心は炉です。炉辺や囲炉裏しかり、家族や仲間は火を中心に車座を作って暮らしてきたのです。
今コロナの災禍がやや収まって来たところで、気になるのは家族や逢えなかった友の様子です。換気や感染対策に注意して何とか集まる機会を設けたいものです。皆で集まると電話やズームなどとは違って一瞬にして疎遠になっていた時間を取り戻せます。

しかし今のLDKでは集まる広いスペ-スがありません。そこで「女の城」と言われていたキッチンをオープンにしてダイニングキッチンどころかリビングキッチンにするのです。そうですキッチンをリビングの中心的存在へと変えるのです。

しかし「わが書斎が欲しい!」 
このテレワークで住まいに自身の書斎の必要を感じた方も多いと思われます。

そこで、今のリビングのひと隅に、いや今のリビングの“壁の一面に”書斎?をつくるのです。扉を開けるとそれが机の脚となり壁となって、目隠しとなり、あまり周りを気にしなく、しかも閉めれば鍵も掛けられる書斎!です。

<イラスト2:LDKの真ん中にテーブルキッチン(画:天野彰)>

 すべての壁を排除し、キッチンとテーブルをLDKの真ん中に置いて、それを囲うように流しやレンジや冷蔵庫組み込むのです。その天井には大きな換気フードで覆うのです。そう、まるであの料理教室のテーブルかステーキハウスの雰囲気です。

<イラスト3左:「わが家のステーキハウス」 イラスト4右:みんなのジャンボテーブル(画:天野彰)>
これこそキッチンであると同時に、まさしくわが家のジャンボテーブルです! 普段は家族の食卓テーブルですが人が集まればパーティルームとなり、家族皆の書斎にもなり、料理や塾などとして教室や各種の多目的室にも変るのです。
壁から和室?さらにベッドが?ブルートレイン式客間が? 狭い1LDKのアパートに住んでいたときの筆者の仕事場兼用のLDKで、来客があっても打ち合わせの座るところもなければ、まして泊めることもできません。

 そこで“苦肉”のアイデアとして、当初壁からたたんだ畳が出てきて和室?にして、そこにちゃぶ台を置き、夜はそこに布団を敷いて寝るなどもしましたが、やはり仕事の効率も悪く、LDKのコーナーにL字形にベッドの幅のソファーを造り付けて応接間として使い。さらにその上にもう1段の折りたたみベッドを造り付け倒せば2段ベッドになるようにしたのです。

<イラスト6左・写真2右:昼は応接ソファー、夜はブルートレイン式客間?(画・設計:天野彰)>

 このベッドを倒したときの受けになる方をはしごとし、ソファーの下やテーブルの中に寝具を入れ、天井にカーテンレールをセットし、まさにブルートレインのベッド、「わが家の客間」にしたのです。まさしく茶を愉しむ“茶道”ならぬ狭さを愉しむ“狭楽し道”です。



さて次回は秋も深まり灯火親しむ候です。


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